戦後、日本の医療は「量」を重視して整備されてきました。この体制により現代では需要-供給バランスが崩れてしまっており、莫大にかかる医療費が問題となっています。
医療の供給を増やすことは、イコール病床を増やすことに繋がります。ここに制限を設けない限り、すでに莫大な金額となっている医療費はより高額になっていってしまいます。
この問題を解決するため、1985年の第一次医療法改正では地域ごとに基準病床数を定め、その数を超えないように管理することになりました。すでに基準数を超えている地域では、原則増床が認められないことになりました。
この改正に用いられた地域の単位が二次医療圏です。医療圏は「かかりつけ医」機能を持つ医師が存在する一次医療圏、一般病棟に入院する際に医療を確保できる範囲である二次医療圏、特殊な疾病や専門医療を対象とし、高度先進医療などを提供できる三次医療圏に分かれています。
病床の基準数をすでに超えている二次医療圏では、原則としてそれ以上病床を増やすことができないため、一般病棟を持つ病院は開設できなくなっています。しかしこれらの政策が施行されたあと、基準数に達していなかった地域では今後さらなる基準数の削減を見越して、現行の基準数までベッド数を増やすといった対応がとられました。それによって逆にベッド数が増えてしまうといった現象が起きています。
初期には「基準病床数」は「必要病床数」と呼ばれていましたが、第四次医療法改正により名称が変更され、さらにこれまで以上に病床数を削減する方向に舵が切られました。この結果これまで基準病床数を超えていなかった地域でも病床過剰になってしまう地域が目立つようになりました。需要と供給のバランスを図るため、今後も基準病床数は減少傾向になると考えられています。